Hush night




グッと距離が近づき、驚きが隠せない。



「ひゃ……っ」



待って待って。

もしかして、もしかしなくとも、わたし……この人に膝枕されてる?


密着していることを意識したら……飛び上がりそうなほどのうるさい鼓動が駆け巡った。




「キスだけで倒れちゃうとか、思ったより慣れてねえのな」


からかうように口角をあげる【レイ】。

わたしの心が読めるのか、そっと身体を支えて起こしてくれた彼。



その手つきがあまりにも優しくて驚く。

こんなふうに大事そうに触れられたことなんてなかったから。




「あ、の」



人と話すのは得意じゃない。

いわゆる、ちょっとしたコミュ障なのかもしれない。


相手と目など合わせられない。

何を考えているか、全部知られてしまう気がするのだ。