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「うるってさ、髪サラサラすぎねえ?」
とある平和な日の夜。
麗日はそんなことを言いながら、わたしの髪を梳いた。
彼の部屋には2人掛けのソファがある。
それに腰掛けている彼が、絨毯の上に座っているわたしを、長い脚の間で挟んでいるという状況。
至近距離だけれど、顔は近くないから少し安心できる。
「……そう、かな」
自分の髪を見下ろすも、自分ではあまり分からない。
胸下くらいまで伸びた色素の薄い髪。
麗日が褒めてくれるのは、一度も染めたことがなくて傷みを知らない髪質だからかもしれない。
「絶対そう。俺、染めすぎて傷んでるから羨ましいわ」
そういう麗日の髪だって、傷んでいるように思えないほど柔らかいのは知っている。
「でも髪色……、似合ってる、よ」
「あーこの色? そろそろシルバー飽きたから染めようと思ってたんだけど」
「染めちゃうの……?」
少し残念な気持ちになる。
わたしが出会ったときから麗日は銀髪だというイメージが付いてしまっているから、髪色を変えてしまうのは寂しい。



