話しかけられる雰囲気ではなく、ただ隣で見守っていると、数分経った頃、彼は顔を上げて満足そうに頷いた。
そうして麗日は、わたしと手を繋いでいる方とは逆の手で器用に書類の束をまとめ、近くにいた穂積さんに呼びかけてそれらを渡す。
「予算書13枚目の総額が2円多い。それと、報告書24枚目の内容が前回から更新されていない。組員の人数も1人増えていたが、“あの人”が偽名でも使って適当に増やしたんだろう」
あまりにも多い言葉の羅列に目を白黒させてしまう。
穂積さんも、些か驚いたように目を見開いていた。
「……ええ、そのように伝えておきますが、レイ様はやはり凄いお方ですね」
「そうか?」
「はい。“あの方”が、10分以内に気づくことが出来れば上出来だと仰っていましたが、レイ様はものの3分で見通しておりましたよ」



