「うる」
気がつけば、麗日が焦った様子でわたしの目の前に立っていた。
話が終わったのか、弾さんと京さんも各々散らばっている。
心配そうに顔を覗き込んでくる麗日は、ゆっくりとわたしの頭に大きな手を乗せた。
「うる、こっち向いて」
「……向いてる、よ」
「違う。俺の目、見て」
そう言われて、彼の目を見つめると、途端に漆黒の瞳に吸い込まれそうになる。
凍った心が少し解れ、やっぱり麗日はわたしの中で特別な存在になってしまっていることを自覚する。
きちんと麗日のほうを見ていたけれど、わたしの目が虚になっていたことに彼は気づいたのかもしれない。
「ごめん。ひとりにさせた」
感情の起伏は薄い方なのに、麗日はわたしのことなどお見通しだ。
「……お話、終わったの?」
「おう。だからずっとうると隣にいる」
「……そっか」
少しだけ、麗日の方へと歩み寄った。
近くにいるという安心感が、自分に向けられる視線から守ってくれる気がした。



