「レイ様」
スーツをピシッと着こなした若い男性が麗日を呼ぶ。
彼はこの前の集会で最後に発言していた人だ。
麗日と同じくらいの年齢であろう若さが印象的で覚えている。
彼は慎重な面持ちで麗日を見つめている。
「穂積、何かあったか」
少しわたしから距離を取りながら麗日は尋ねた。
穂積さんは、他の組員の人たちよりも格が違うと素人目でもわかる。
若さなんて引けを取らない所は、麗日と同じだ。
麗日に対する忠誠心は、弾さんと類似しているけれど。
わたしなんて目もくれない様子が、この場の誰よりも恐ろしいと思った。
「スイ様の件で、少しお話が」
穂積さんがそう言うと、麗日はチラッとわたしを一瞥する。
「うる、ちょっと待っててな」
わたしに聞かれたくないことなのは明確だ。
麗日の邪魔にはなりたくないから素直に頷いて、部屋の端の方へと移動した。
内密にやり取りしている様子を遠目から眺めていると、話の内容を聞きつけたのか、そこに京さんが加わった。
「スイさんのことなら、俺もちょっとあるんだけど」
何度も話題になる“スイ”という人は、『獅童組』にとって何者なのだろうか。
どうしてもわたしから離れなかった麗日が、わざわざ遠ざけてまで話さなければならない人物。
ひとまず彼らをぼーっと眺めていると、ヒソヒソとわたしを見て囁く声が聞こえてくる。



