Hush night


じっと漆黒の瞳に見つめられ、ドキッと胸が高鳴る。

近づいてくる顔に、キスされると慌てて目を瞑ったけれど。



ふに、と麗日は人差し指でわたしの唇に触れて口角を上げた。



「じゃあ今日は、どこにも行かずに過ごそうな」



キスされると期待してしまった……と恥ずかしくなるのも束の間。

ゆっくりとわたしの頬を撫でて、麗日はそっと唇を重ねた。



わたしの扱いが上手い麗日は、目を細めてクスッと笑う。


「もっと、って顔してる」

「……して、ない」


「ばぁか。真っ赤な顔してよく言うよ」



その言葉にびっくりして焦って自分の頬を包んで隠す。

驚くほど熱い頬は冷めることなく、さらに温度が上がっていくのだから仕方ない。


「うるのこんな顔見れるの俺だけ?」


わざとらしく首をこてんと傾けて聞いてくる。

……やっぱり、狡い。


わたしには麗日しかいないことくらい、自分でわかってるくせに。

彼にしか甘えないことくらい、知ってるくせに。



言葉にするのは恥ずかしくて、上目遣いで見つめて無言で訴える。

すると麗日は、じっと黙り込んだかと思えば、すぐに口を開いた。


「可愛い顔しても駄目」


甘いハスキーな声が、わたしの心を緩く絆す。


……ああ、もう。

この人は、どこまでわたしの淡い気持ちを奪っていくのだろうか。