いまは何気ない平日の昼。
もちろん麗日の住処で、ゆったりと過ごしている。
今日は麗日の仕事はないらしく、平穏な日常を過ごしていた……んだけれど、嵐のような京さんの登場で心なしか忙しなくなった。
麗日が作った(実はすごく料理上手)、昼食のパエリアを少しずつ食べていると、彼は思い出したように声をかけてきた。
「あ、そういえば連絡先教えて」
「……あ、おしえて、なかったっけ」
「おう、聞いてねえ。いちおう交換しとこ」
こくりと頷き、スマホを取り出して交換する。
連絡先に“麗日”の文字が表示されているのを見て、どこか嬉しい気分になる。
こんな気持ちは初めてで。
この人はわたしの沢山の初めての感情を奪っていく、そう思った。



