Hush night



いちども会話を交わしたことなどない。


ましてや、会ったことすらないのに。



どうして、わたしなんかに───こんなに構うの?




「ほっとけねーよ」



スッと目を細める【レイ】は、紛れもなく毒所持者だ。

見つめられただけで、息が止まるほどの詰まる気持ちに陥ってしまう。



もともとの熱もあって、浮遊感に襲われる。



「……後悔します、よ」



わたしなどと関わったら……、きっと悪夢のような未来が待っている。



出逢ってはいけなかったんだ、この男とは。

絶対に。





「はあ? お前、俺を誰だと思ってる」

「……っ」


「雑念なんか、とっとと捨てろ。
頭ん中俺のことしか考えられないくらい、躾けてやる」