いちども会話を交わしたことなどない。
ましてや、会ったことすらないのに。
どうして、わたしなんかに───こんなに構うの?
「ほっとけねーよ」
スッと目を細める【レイ】は、紛れもなく毒所持者だ。
見つめられただけで、息が止まるほどの詰まる気持ちに陥ってしまう。
もともとの熱もあって、浮遊感に襲われる。
「……後悔します、よ」
わたしなどと関わったら……、きっと悪夢のような未来が待っている。
出逢ってはいけなかったんだ、この男とは。
絶対に。
「はあ? お前、俺を誰だと思ってる」
「……っ」
「雑念なんか、とっとと捨てろ。
頭ん中俺のことしか考えられないくらい、躾けてやる」



