♢♢♢
「おとちゃーん!」
駅の端の方に立っていた梨奈が飛びついてくる。
「おはよう。朝から元気だね」
今日はクリスマスイブ。
梨奈に誘われて遊園地に行くことになった。
「おとちゃん、行くよ!!」
「そんなに急がなくても…」
梨奈に引っ張られながら改札を抜ける。
雑談しながら電車に乗った。
絶対に後から混み始めるので椅子に座っておく。
「見てみて、梨奈の好きなキャラのカチューシャ持ってきたの!ちなみにおとちゃんの分もあるよ!」
梨奈が見せるカチューシャは青とピンクの色違いで、ウサギの耳の形だった。
「かわいいけど、私はつけないよ」
「えー、なんでぇー、いいじゃん!」
絶対私には似合わない。
うるさかったのだろう、近くのおじさんに睨まれた。
おじさんに睨まれ、気まずくなりながらも電車は遊園地の最寄り駅にたどり着いた。
「いっくぞー」
一瞬でおじさんに睨まれていたことを忘れた梨奈が電車から飛び降りていく。
駅から歩いて5分ほどの遊園地は、広さと絶叫系アトラクションが充実していることで有名だ。
結局私は梨奈に青いウサギ耳カチューシャをつけられ、遊園地じゅうを引っ張り回された。
すごく楽しかったけど、引っ張りすぎでしょ、と苦情を言いたくなった。
それに、今日だけで10㎏太るんじゃないか、と思うぐらいたくさん食べた。
「梨奈、そろそろ帰ろう。」
「やだ!まだ遊ぶ!」
さっきからずっと梨奈がこんな調子で帰ろうとしない。
「なんで?また来ればいいじゃん」
「だって、だってぇ…」
梨奈が涙目になっていく。
「遊園地、来てから、ずっと、おとちゃん、楽しそうなんだもん!りなは、おとちゃんが楽しい、っ、所にいたいっ!」
言葉が出なかった。
「おとちゃん、最近、悲しそうなんだもん…、おとちゃんがっ、悲しそうな所は、見たくないの!」
「……り、な」
ハァハァと息が荒い梨奈は、絶え間なく涙を流していた。
「ご、めん」
「謝って欲しいんじゃないの!おとちゃんが、毎日梨奈と一緒に、ううん、一緒じゃなくてもいい!幸せに、過ごせるなら!」
なんで、こんなに梨奈は私のことを純粋に愛してくれるんだろう。
「おとちゃんは梨奈のこと、守ってくれたじゃん!梨奈だって、おとちゃんのこと、守りたいっ…」
あんなの、守ったに入るわけない。
中1の時に梨奈がいじめられていたのを助けただけだ。
それに、梨奈が本気になっていれば、あんな奴らなんて簡単に負かすことが出来ただろう。
むしろ、私が首を突っ込んだのだ。
「たいしたことは、してないよ…」
「でもっ!梨奈は嬉しかったっ!」
ギュッと抱きついてきた梨奈を抱きしめ返すことができない。
「……わがまま言ってごめん、帰ろう」
何も言わない私を見た梨奈が私にまわしていた腕をほどいた。
「まっ、て」
私は梨奈の腕を掴んでいた。
「あし、た、全部、終わらせてくる。なかったことに、してくる、から…だから…」
いい加減、ダラダラと千景さんのことを引きずるのはもうやめだ。
明日、全て終わらせる。
きっと。
「うん。でも、無理、しないでね。…ごめん、矛盾したこと言ってる。梨奈に出来ることはなんでもするから」
「ありがとう」
そろいも揃って目を赤くした私達は微笑みあってから、ゆっくりと歩き出した。
「おとちゃーん!」
駅の端の方に立っていた梨奈が飛びついてくる。
「おはよう。朝から元気だね」
今日はクリスマスイブ。
梨奈に誘われて遊園地に行くことになった。
「おとちゃん、行くよ!!」
「そんなに急がなくても…」
梨奈に引っ張られながら改札を抜ける。
雑談しながら電車に乗った。
絶対に後から混み始めるので椅子に座っておく。
「見てみて、梨奈の好きなキャラのカチューシャ持ってきたの!ちなみにおとちゃんの分もあるよ!」
梨奈が見せるカチューシャは青とピンクの色違いで、ウサギの耳の形だった。
「かわいいけど、私はつけないよ」
「えー、なんでぇー、いいじゃん!」
絶対私には似合わない。
うるさかったのだろう、近くのおじさんに睨まれた。
おじさんに睨まれ、気まずくなりながらも電車は遊園地の最寄り駅にたどり着いた。
「いっくぞー」
一瞬でおじさんに睨まれていたことを忘れた梨奈が電車から飛び降りていく。
駅から歩いて5分ほどの遊園地は、広さと絶叫系アトラクションが充実していることで有名だ。
結局私は梨奈に青いウサギ耳カチューシャをつけられ、遊園地じゅうを引っ張り回された。
すごく楽しかったけど、引っ張りすぎでしょ、と苦情を言いたくなった。
それに、今日だけで10㎏太るんじゃないか、と思うぐらいたくさん食べた。
「梨奈、そろそろ帰ろう。」
「やだ!まだ遊ぶ!」
さっきからずっと梨奈がこんな調子で帰ろうとしない。
「なんで?また来ればいいじゃん」
「だって、だってぇ…」
梨奈が涙目になっていく。
「遊園地、来てから、ずっと、おとちゃん、楽しそうなんだもん!りなは、おとちゃんが楽しい、っ、所にいたいっ!」
言葉が出なかった。
「おとちゃん、最近、悲しそうなんだもん…、おとちゃんがっ、悲しそうな所は、見たくないの!」
「……り、な」
ハァハァと息が荒い梨奈は、絶え間なく涙を流していた。
「ご、めん」
「謝って欲しいんじゃないの!おとちゃんが、毎日梨奈と一緒に、ううん、一緒じゃなくてもいい!幸せに、過ごせるなら!」
なんで、こんなに梨奈は私のことを純粋に愛してくれるんだろう。
「おとちゃんは梨奈のこと、守ってくれたじゃん!梨奈だって、おとちゃんのこと、守りたいっ…」
あんなの、守ったに入るわけない。
中1の時に梨奈がいじめられていたのを助けただけだ。
それに、梨奈が本気になっていれば、あんな奴らなんて簡単に負かすことが出来ただろう。
むしろ、私が首を突っ込んだのだ。
「たいしたことは、してないよ…」
「でもっ!梨奈は嬉しかったっ!」
ギュッと抱きついてきた梨奈を抱きしめ返すことができない。
「……わがまま言ってごめん、帰ろう」
何も言わない私を見た梨奈が私にまわしていた腕をほどいた。
「まっ、て」
私は梨奈の腕を掴んでいた。
「あし、た、全部、終わらせてくる。なかったことに、してくる、から…だから…」
いい加減、ダラダラと千景さんのことを引きずるのはもうやめだ。
明日、全て終わらせる。
きっと。
「うん。でも、無理、しないでね。…ごめん、矛盾したこと言ってる。梨奈に出来ることはなんでもするから」
「ありがとう」
そろいも揃って目を赤くした私達は微笑みあってから、ゆっくりと歩き出した。