“ゴンゴンゴン″
どこかから何かを叩く音がする。
「誰かいるのー?開けてくださーい!」
その言葉で私はハッと飛び起きた。
「わっ、」
顔をあげたら目の前に千景さんの顔があった。
「しーっ、ばれちゃうよ」
千景さんが唇に人差し指を当てていた。
「でも、ドア開けられちゃったら…」
立ち入り禁止のはずの空き教室で男女が抱き合っていたら明らかにあやしいだろう。
慌てて千景さんから離れようとするものの、千景さんは私のことを離そうとしない。
「大丈夫、鍵閉めてあるから」
「でも…」
千景さんはより一層私を抱きしめる腕に力をいれた。
千景さんの匂いが普段よりずっと強く香った。
「顔、真っ赤だよ。かわいいね」
「はっ、?え?いや、その、」
「ほら、聞こえちゃうよ」
心臓の音がものすごい。
もしかしたら、千景さんに聞こえているかもしれない。
千景さんの手がくるくると私の髪を弄んでいる。
教室の隅でひそひそと繰り広げられる会話の間も絶え間なくドアの外から声が聞こえてくる。
「なんでドアに話しかけてんの?」
「だってさっき中から声がしたんだもん。」
「開ければ良いじゃん」
「鍵かかってる」
「じゃあ、鍵取りに行こ」
「そうだね」
もう一人、人が来たようで、二人で鍵を取りに行くことにしたらしい。
二人分の足音が去って行って、私はフッと体の力を抜いた。
「いなくなったね、」
そう言って千景さんは私を離して立ち上がった。
「早く帰らないと鍵持って戻ってきちゃうね」
「そっ、そうです、ね」
口ごもりまくった。
「じゃあ、またね」
千景さんは一人で教室を出て行った。
私が離れたくても離してくれなかったときが嘘かのように、あっさり行ってしまった。
でも、今まて一人で抱えてきたものを聞いてもらっただけでものすごく楽になった。
正直、まだ“私のせいで″という気持ちはあるけど、明日はお墓に入れるような気がする。
空き教室を出ると、もうほとんど文化祭は終わっていた。
気持ちに余裕が出来て、朝から梨奈の連絡を無視していたことを思い出した。
ちゃんと梨奈に謝りたい、と思いながら教室への道を急ぐ。
「おとちゃんっっ!!」
教室に戻った途端、梨奈に飛びつかれた。
「梨奈、何かした…?朝から、梨奈のこと避けてたよね…、謝るから許して…」
「ごめんね、梨奈は何にもしてないよ。、私が一人でバカなことやってただけだから。ほんとにごめん」
改めて、朝の私の行動は本当にバカだと思う。
梨奈に迷惑をかけないためと言い訳して、何一つ梨奈に伝えなかった。
梨奈は怒って当然だし愛想を尽かされても仕方が無いかもしれない。
「よかったぁ…、梨奈、おとちゃんに捨てられたかと思ったっ…、梨奈って、何も相談出来ないぐらい頼りない?」
あふれる寸前まで涙の膜が張った目で、まっすぐこちらを見つめてくる。
「そんな!梨奈のことを捨てるわけないじゃん!梨奈は全然頼りなくないよ!」
「でもっ…もっと梨奈に相談して欲しかったっ!」
梨奈はこんなに優しいのに、話したらきっと親身になって聞いてくれたはずなのに、私は何も言わなかったのだ。
「…ごめん、」
それから私は梨奈にこっぴどく叱られた。
でも最後は結局、いつも通り梨奈と一緒に電車に揺られながら家に帰った。
どこかから何かを叩く音がする。
「誰かいるのー?開けてくださーい!」
その言葉で私はハッと飛び起きた。
「わっ、」
顔をあげたら目の前に千景さんの顔があった。
「しーっ、ばれちゃうよ」
千景さんが唇に人差し指を当てていた。
「でも、ドア開けられちゃったら…」
立ち入り禁止のはずの空き教室で男女が抱き合っていたら明らかにあやしいだろう。
慌てて千景さんから離れようとするものの、千景さんは私のことを離そうとしない。
「大丈夫、鍵閉めてあるから」
「でも…」
千景さんはより一層私を抱きしめる腕に力をいれた。
千景さんの匂いが普段よりずっと強く香った。
「顔、真っ赤だよ。かわいいね」
「はっ、?え?いや、その、」
「ほら、聞こえちゃうよ」
心臓の音がものすごい。
もしかしたら、千景さんに聞こえているかもしれない。
千景さんの手がくるくると私の髪を弄んでいる。
教室の隅でひそひそと繰り広げられる会話の間も絶え間なくドアの外から声が聞こえてくる。
「なんでドアに話しかけてんの?」
「だってさっき中から声がしたんだもん。」
「開ければ良いじゃん」
「鍵かかってる」
「じゃあ、鍵取りに行こ」
「そうだね」
もう一人、人が来たようで、二人で鍵を取りに行くことにしたらしい。
二人分の足音が去って行って、私はフッと体の力を抜いた。
「いなくなったね、」
そう言って千景さんは私を離して立ち上がった。
「早く帰らないと鍵持って戻ってきちゃうね」
「そっ、そうです、ね」
口ごもりまくった。
「じゃあ、またね」
千景さんは一人で教室を出て行った。
私が離れたくても離してくれなかったときが嘘かのように、あっさり行ってしまった。
でも、今まて一人で抱えてきたものを聞いてもらっただけでものすごく楽になった。
正直、まだ“私のせいで″という気持ちはあるけど、明日はお墓に入れるような気がする。
空き教室を出ると、もうほとんど文化祭は終わっていた。
気持ちに余裕が出来て、朝から梨奈の連絡を無視していたことを思い出した。
ちゃんと梨奈に謝りたい、と思いながら教室への道を急ぐ。
「おとちゃんっっ!!」
教室に戻った途端、梨奈に飛びつかれた。
「梨奈、何かした…?朝から、梨奈のこと避けてたよね…、謝るから許して…」
「ごめんね、梨奈は何にもしてないよ。、私が一人でバカなことやってただけだから。ほんとにごめん」
改めて、朝の私の行動は本当にバカだと思う。
梨奈に迷惑をかけないためと言い訳して、何一つ梨奈に伝えなかった。
梨奈は怒って当然だし愛想を尽かされても仕方が無いかもしれない。
「よかったぁ…、梨奈、おとちゃんに捨てられたかと思ったっ…、梨奈って、何も相談出来ないぐらい頼りない?」
あふれる寸前まで涙の膜が張った目で、まっすぐこちらを見つめてくる。
「そんな!梨奈のことを捨てるわけないじゃん!梨奈は全然頼りなくないよ!」
「でもっ…もっと梨奈に相談して欲しかったっ!」
梨奈はこんなに優しいのに、話したらきっと親身になって聞いてくれたはずなのに、私は何も言わなかったのだ。
「…ごめん、」
それから私は梨奈にこっぴどく叱られた。
でも最後は結局、いつも通り梨奈と一緒に電車に揺られながら家に帰った。


