拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています

「なに、謝ることなどない。こんなふうに世話を焼いてもらうなど、ずいぶんと久しぶりだ。これはむしろ、役得だな。ありがとう、ティーナ」
「……ファルザード様」
 白い歯をこぼし、朗らかに笑う彼の姿が目に眩しい。知らず鼓動がトクンと高鳴った。
 本当は誰よりも身分ある人なのに、なんて気さくで飾らない人なんだろう。それに、相手への気遣いができる優しい人だ。
 気を取り直した様子で再び薔薇の株に向き合うファルザード様のうしろ姿を眺めながら、心臓は普段よりも速足のままもうしばらく落ち着いてくれそうになかった。
「なるほど。たしかに込み入った株の中の花柄を取るのに、素肌だと危なそうだ。君は俺の腕を引っかき傷から守ってくれた救世主だな」
「ふふふっ。オーバーですよ」
 私たちは軽口で笑い合いながら、花がら摘みを続けた。粗方の作業が終わったところで、ふとファルザード様が今日はいつもより長く滞在していることに気づく。
「そういえば、今日はゆっくりなんですね」