拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています

 ファルザード様は私の答えにフッと表情を綻ばせた。
 そうして私が花がらを摘み始めるのを見て、腕捲りしながら隣の株に向かう。
「色の悪いものを取ればいいのか? どれ、手伝おう」
「あ、待ってください」
 私は慌てて手のひらに掴んでいた花がらを足もとの塵入れに落とすと、彼の腕を引く。
 掴んだのは手首の近くだったのだけど、筋肉質の腕はゴツゴツして太く、到底指が回りきらない。馴染みのない感触だが、手のひらに伝わる私より少し高い体温は、ここの子供たちのそれに近かった。
「うん?」
 次の花を綺麗に咲かせるためにも、褐変した花を摘む作業は欠かせない。この品種だと花がらは付け根から簡単にもぎ取れるけれど、株の中に手を入れる時に棘で刺してしまわないよう十分に注意する必要があるのだ。
 ここ最近は、隙あらば私の見よう見真似でなんでも手伝いをし始めようとする子供たちの身に危険が及ばないよう、動向に目を光らせる癖がついていたから、今もすぐに気づくことができた。