拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています

 この日も、私が孤児院で花の手入れをしているところに彼がやって来た。
「まぁファルザード様、こんにちは」
 彼はシャツとトラウザーズ、革の長靴という軽装で、手にはずっしりと重そうな麻袋を持っていた。
 シンプルな装いだからこそ、長い脚や厚みのある肩といった体格のよさが際立つ。澄み渡る空の下、艶やかな黒髪に陽光をキラリと受けながら颯爽と立つその姿に、意図せず胸がトクンと跳ねる。
「今日は発酵済み油かすを持ってきたんだ。よかったら使ってくれ」
 どうやら、大きな麻袋の中身は差し入れの肥料だったらしい。
「まぁ、いいんですか?」
 ラーラを入れたバスケットを置いていた木陰にチラリと目線を向けると、ラーラは既にバスケットを飛び出して、ザイオンと並んで楽しそうにしていた。
 ……ふふっ、すっかり仲良しさんね。
「ああ。造園業を営む知人が、王都で請け負った現場で使った残りなんだ。このまま残しておいても捨てるだけだというから、遠慮せずここで使ってくれ」