拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています

 魔力のことを確認したかったのは、ラーラによる魔力の増幅とそれによって生じるトラブルを危惧したからだ。
 しかし、ティーナに今語ったのも、まったくの嘘ではない。実際、調査官の中にはそういう魔力の使い方ができる者がいる。もっと言うと、奴は魔力の残滓うんぬん関係なく、対象物に残った痕跡を魔力で分析してそれに接触した個人すら特定してしまうのだが。
「まぁ、魔力で他者の魔力を!? そんな使い方ができる人がいるんですね」
「世間に広く知られたい能力ではないから、一応ここだけの話にしてもらえたらありがたい」
 ただし、後にも先にもそんな器用な魔力の使い方をする者は奴だけだろう。俺の副官でもあるヘサームを思い起こし、苦笑を浮かべた。
 そのヘサームは緻密な分、融通が利かない性格をしている。そういう意味では、種の入っていた箱にティーナが触れる前に止められたことはよかった。彼女のことを知れば、どうして正式な手順で聴取をしないのだと煩く噛みついてくるのは目に見えていた。