拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています

 誰がどんな性質の魔力をどの程度持っているかというのは、かなり繊細な内容だ。本来なら、こんなふうに初対面で口にするに相応しい話題ではない。
「……とても弱いですが、あるにはあります」
 僅かな逡巡の後、彼女はそっと答えた。
 魔力は一般的に高い方が尊ばれる。結婚でも家格や財力等と並んで判断材料のひとつとなるから、平民より王侯貴族の方が魔力が高い傾向があった。
 ただし、我が国の生活や産業の基盤となる設備は、すべて魔石のエネルギーで稼働している。個々の魔力はあると便利だが、生きていく上で必須ではない。
 なにより、魔力というのは万能ではない。魔力があっても大抵の人は僅かに風を起こしたり、物を浮かせたりがせいぜい。直接火を起こしたり、水を出したりできる者となると数えるほどになる。
 そう言う意味では、もう二度と使うことはないが、攻撃や防御にまで実用的に使っていた俺の魔力は破格の強さといえた。
「それを日常的に使うことは?」
 ティーナはこの質問に即座に首を横に振った。