拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています

 ラーラの入ったバスケットを手渡し、扉へと促す。ティーナがそれにすんなり頷いてくれたことに、内心でホッとしていた。

 酒場を出ると、並んで通りを歩きだす。
 彼女が腕にぶら下げたバスケットからは、時折真っ白な尻尾の先がチョロチョロと覗いており、それをザイオンがなんとも言えない目で見上げていた。
 界を跨いで出会った同胞がまさか自身と並ぶ最高位の光の精霊であったことも。その精霊がどんな運命の悪戯か、赤ん坊のように未熟だったことも。きっと、どちらもザイオンにとって相当な衝撃だったに違いない。
「時にティーナ。少しだけ踏み込んだことを聞かせてもらってもいいだろうか」
 彼女が待ち合わせ場所にしているという、メーン通り沿いの馬車駅までは十分とかからない。あまり時間もなかったため、早々に話を切り出した。
「えっと。私がお答えできることなら。なんでしょう?」
「君は魔力を持っているか?」
 魔力とは、万物に働きかけ、そこからエネルギーを引き出す能力を指す。