拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています

 半瞬後には男たちの生きた証の一切と、部屋の乱れまでもが跡形もなく元通りになっていた。この部屋に賊の侵入があったと訴えたとて、信じる者はまずないだろう。
「ありがとう、ザイオン」
『ニャー《こんなのは朝飯前だ。それより、そなたが先ほど口にしていた【闇魔力を頼るのもこれが最後】というのはどういう意味だ?》』
「言葉通りさ。こんな惨事を二度と起こさないために、俺は一切の魔力を封じる。俺が使わなければ、どんなにお前が増幅させたところで意味をなさない」
『ニャー《魔力なしで今回みたいな事態にどうやって対抗する? 我の闇魔力にも頼らんのだろう?》』
 ザイオンの試すような口ぶりにも、俺はもう動じなかった。
 既に覚悟は決まっていた。
「鍛えるんだ。剣技を磨いて、体術を身に付けて。付け入られないよう、知略だって養う。そうして魔力に頼らなくとも、誰にもしてやられないくらい、俺は強くなる──!」
 ザイオンを見据えて宣言した。これは俺の決意であり、誓いだ。