「……ザイオン、最後の頼みだ。彼らの亡骸をその魂ごと安寧の闇に帰してやってくれ」
調べるまでもなく、彼らは身元に繋がる手がかりなど持っていないから、故郷の土に帰すことはかなわない。加えて、いとし子である事実を周囲の人たちに伏せている俺にとって、彼らの変死体が人目に晒されることはうまくなかった。
闇の精霊は、同時に人の死にかかわる精霊でもある。こんな時だけ頼るのはずるいかもしれないが、ザイオンの力で闇に葬ってもらうのが俺にとっても最善だった。
『ニャー《ん? 賊に死後の安息を与えるのか? 我ならば、邪魔な遺体だけを闇に隠すことも可能だが?》』
「賊だろうが関係ない。死者を弔い、その魂の安寧を祈るのは人として当然のことだ」
『ニャー《奇特なことだ。だが、いとし子の願いとあらば叶えよう》』
ザイオンがスッと銀色の目を閉じる。
直後、男たちの亡骸を覆った闇色の靄がブワッと膨れ上がる。そのまま男たちは、己を包む靄ごとサーッと空気に溶けて消えた。
調べるまでもなく、彼らは身元に繋がる手がかりなど持っていないから、故郷の土に帰すことはかなわない。加えて、いとし子である事実を周囲の人たちに伏せている俺にとって、彼らの変死体が人目に晒されることはうまくなかった。
闇の精霊は、同時に人の死にかかわる精霊でもある。こんな時だけ頼るのはずるいかもしれないが、ザイオンの力で闇に葬ってもらうのが俺にとっても最善だった。
『ニャー《ん? 賊に死後の安息を与えるのか? 我ならば、邪魔な遺体だけを闇に隠すことも可能だが?》』
「賊だろうが関係ない。死者を弔い、その魂の安寧を祈るのは人として当然のことだ」
『ニャー《奇特なことだ。だが、いとし子の願いとあらば叶えよう》』
ザイオンがスッと銀色の目を閉じる。
直後、男たちの亡骸を覆った闇色の靄がブワッと膨れ上がる。そのまま男たちは、己を包む靄ごとサーッと空気に溶けて消えた。



