拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています

 振り返って陛下に尋ねれば、陛下は少し訝しみつつ手を差し出してくれた。
 私は診療所で他の患者さんたちにそうしてきたように、その手をキュッと握って囁く。
「陛下が早くお元気になられますように」
 聖女の能力を乱用する気はさらさらない。そもそもラーラはザイオンと共に城の前庭で待っており、この場にいない。
 けれど、祈りは確実に力になる。大切なファルザード様の叔父様には、長く元気でいてほしいと思った。だから、素直にその心に従った。
 そっと手を解き、見下ろした陛下の顔色は、少しだけよくなっているように見えた。
 ファルザード様と目と目で小さく頷き合い、今度こそ陛下の部屋を後にした。

 陛下の私室を出てから一時間後。
「ラーラ? ……ラーラ!?」
 私は王城の庭の一角に設えられた薔薇園で、必死にラーラの姿を捜していた。
「ティーナ、いたか!?」
 軍務施設の敷地に繋がる裏口の方向から駆けてきたファルザード様に問われ、力なく首を横に振る。
「いいえ」