拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています

 向かいから伸びてきた手に、乱暴に顎を掴み上げられて呻きをあげた。
 殿下は痛みに顔を引きつらせる私を覗き込んで、口もとに残忍な笑みをのせる。
「だが、安心していい。私は魔物とは違う。野蛮な真似は嫌いさ。人ならざる惨殺なんて所業はもっての外だ。そこで、実に相応しい処遇を思いついた。お前に〝死の館〟で病人の看護を命じる。奉仕精神にあふれたお前にはお誂え向きだろう? 孤児院から診療所に場所を変え、せいぜい看護に励むんだな!」
 私は〝死の館〟という場所を知らなかったが、続く診療所という単語から助かる見込みのない重病患者を収容した施設だと想像できた。
「あっ!」
 言いたいことだけ告げると、殿下は私を隣の男の方にドンッと押しやる。
「カロン、後のことは任せる。手筈通り〝死の館〟にこの女を押し込んでこい!」
「ハッ」
 私は再び隣の男──カロンに肩を押さえられ身動きを封じられた。その隙に殿下が座席から腰を浮かせる。