すると、丈の合わない擦り切れだらけのワンピースを着た十二、三歳ほどの少女が、地面に尻もちをついていた。少女の周囲には、クタッとなった薔薇が数輪落ちている。
「あなた、大丈夫!?」
目にするや、私は紙袋とバスケットをその場に下ろし、少女のもとに駆け寄る。
おそらく少女を突き飛ばしたのだろう男性は、気まずそうにこちらを一瞥したものの、逃げるように人混みに紛れていった。
「ん、平気」
残された少女は気丈に答え、起き上がろうとする。私は少女の腕を引いて立ち上がるのを助け、土に汚れたスカートを叩きだす。
「……やっと咲いた花だったのに」
少女が悲しそうにつぶやきながら見つめる先に、私もつられて視線を向ける。
「花弁が落ちちゃった。これじゃあもう売り物にはならないよ。……あーぁ、全部売ってくるって大口叩いちゃったのに、なんて言おう」
少女の言葉通り、薔薇は幾枚かその花弁を散らしていた。けれど、私の目にはたとえ花弁がすべて揃っていたとしても、この薔薇を買ってもらうのは難しいように見えた。
「あなた、大丈夫!?」
目にするや、私は紙袋とバスケットをその場に下ろし、少女のもとに駆け寄る。
おそらく少女を突き飛ばしたのだろう男性は、気まずそうにこちらを一瞥したものの、逃げるように人混みに紛れていった。
「ん、平気」
残された少女は気丈に答え、起き上がろうとする。私は少女の腕を引いて立ち上がるのを助け、土に汚れたスカートを叩きだす。
「……やっと咲いた花だったのに」
少女が悲しそうにつぶやきながら見つめる先に、私もつられて視線を向ける。
「花弁が落ちちゃった。これじゃあもう売り物にはならないよ。……あーぁ、全部売ってくるって大口叩いちゃったのに、なんて言おう」
少女の言葉通り、薔薇は幾枚かその花弁を散らしていた。けれど、私の目にはたとえ花弁がすべて揃っていたとしても、この薔薇を買ってもらうのは難しいように見えた。



