拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています

 その様子に、彼女が俺との束の間の離別を惜しんでくれているのが感じ取れ、不謹慎にも嬉しいと思ってしまう。
「そうですか。ファルザード様、どうかお気をつけて。ご無事のお戻りをお待ちしています」
「ティーナ。俺が戻ってきたその時は、さっき君が口にしかけた話の続きを聞かせてくれ」
 ティーナは僅かに目を見開いて、フッと微笑んだ。
「はい。必ずお伝えします」
「ありがとう。その時は、俺も君に伝えたいことがある。アゼリアでも、君との再会を励みにして頑張れそうだ」
「よかった、いってらっしゃいませ」
「ああ、いってくる」
 ティーナがここで「さようなら」ではなく、見送りの言葉を選んだことに気持ちが綻ぶ。
 最初に顔を会わせた時にも思ったし、ラーラに対しても同じような感覚を覚えたが、微笑みを湛えた彼女はまるでひと皮むけたようにひと回り大きく見えた。