拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています

 そのまましばらく艶やかな毛並みを撫でていると、なぜだろう。心を苛んでいた劣等感やコンプレックスが和らいでくるのを感じた。それらが完全になくなることはないけれど、気持ちが晴れやかに、前向きになっていく。
「お前は不思議な子ね」
 純白の毛皮をもうひと撫でし、ふいに空を見上げた。すると、やわらかな春の日差しが心地よく大地を照らしていた。
「んー、いいお天気! ねぇラーラ、せっかくだからお散歩に出ましょうか? こんなぽかぽか陽気に籠もりっぱなしじゃもったいないわ」
 さっきまでの暗い気持ちを切り替えてあえて明るく提案すれば、分かっているのか、いないのか。ラーラは機嫌よさそうに、ゆらゆらと尻尾を揺らして応えた。
 その様子を目を細めて眺めながら、ふと思い出したのは、庶民的な商店が多く軒を連ねる東地区のあるお店。
 ……そういえば、東地区のメーン通りに店を構えるペットショップに、猫用おやつがいっぱい並んでいたわ。
「私、いいお店を知っているの。気に入ったおやつを買ってあげるわね」