拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています

 いかん……! ジェニスの悪行は俺の耳にも届いていた。奴は城仕えの使用人を「気に入らない」のひと言で幾人も地方の離宮に飛ばしたり、退職に追い込んだりしているという。
 今はさすがに直接危害を加えることはしないだろうが、ミリア自身、はたまた彼女の養育責任者である院長に難癖をつけ、後々よからぬ要求を突きつけてくるかもしれない。
「お待ちください、殿下」
 俺が執り成そうと踏み出しかけるが、それよりも一瞬早くティーナがジェニスとミリアの間に割って入った。
「今のは年端のいかぬ子供が口にしたほんの戯言で、さして意味もないのです。あなた様がわざわざお気に留めるほどのものではありません。……それにここは、人の目も多くございます」
 ティーナの言葉を受け、ジェニスは素早く周囲に視線を巡らせる。そこで初めて自分たちが往来の人々の目を集めていることに気づいたようで、バツが悪そうに咳払いして一歩後ろに引いた。
「フンッ、もういい!」