拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています

 なぜ奴がここにいる!?
 状況を探るべく、スッと体を引っ込めて気配を殺した。
「おいティーナ、遠慮なんてしなくていいんだ。さっき君は『この店にあるものは全部可愛い』と言っていたじゃないか」
「遠慮ではありません。可愛いというのは、あくまで店主との会話の中で商品に対して述べた感想であって、ほしいという意図の発言ではないんです。ましてや、店の商品を全部買い上げるだなんてとんでもないことです」
 漏れ聞こえてくる会話から、つぶさに状況が知れる。
 五歳の時から成長しない傲慢すぎるジェニスの言動に目眩がした。呆れて物も言えんな。
「……なんだ、つまらん。全部買ったとてほんのはした金。素直に受け取っておけばいいものを」
「殿下のお気持ちだけ、ありがたくちょうだいいたしますので。どうかご容赦くださいませ」
 貼り付けたような笑顔を浮かべ、奴の機嫌を損ねぬよう必死に対応しているティーナが痛ましい。