家名を告げる瞬間は、苦しいくらい心臓が縮んだ。それでも、掠れがすれにもなんとか声になったことにホッとする。
「シェルフォード侯爵家? 母が気に入って、最近よく側に侍らせているマリエンヌという娘が、シェルフォード侯爵家の者と記憶しているが……」
「マリエンヌは姉でございます」
「ほう。そうか、妹か。シェルフォード侯爵家に娘がふたりいたとは知らなかったが……そうか、侯爵家の」
殿下は私の腕を掴むのと逆の手を顎にあて、何事か思案するように頷いている。その口もとがニヤリと歪に弧を描くのを目にし、ひどく嫌な予感がした。
◇◇◇
ティーナを初めて自宅屋敷まで送って帰ったあの日から五日目。
「なんだと!? それは確かなのか!?」
俺は屋敷の書斎で、副官のヘサームからもたらされたまさかの報告に驚きの声をあげていた。
「ええ。ジェニス殿下は昨夕、陛下との会食の折に内々にではありますが、シェルフォード侯爵家の次女、ティーナ嬢との婚姻を希望する旨、申し出たようです」
「シェルフォード侯爵家? 母が気に入って、最近よく側に侍らせているマリエンヌという娘が、シェルフォード侯爵家の者と記憶しているが……」
「マリエンヌは姉でございます」
「ほう。そうか、妹か。シェルフォード侯爵家に娘がふたりいたとは知らなかったが……そうか、侯爵家の」
殿下は私の腕を掴むのと逆の手を顎にあて、何事か思案するように頷いている。その口もとがニヤリと歪に弧を描くのを目にし、ひどく嫌な予感がした。
◇◇◇
ティーナを初めて自宅屋敷まで送って帰ったあの日から五日目。
「なんだと!? それは確かなのか!?」
俺は屋敷の書斎で、副官のヘサームからもたらされたまさかの報告に驚きの声をあげていた。
「ええ。ジェニス殿下は昨夕、陛下との会食の折に内々にではありますが、シェルフォード侯爵家の次女、ティーナ嬢との婚姻を希望する旨、申し出たようです」



