ダークチョコレート


「まさかこんな、彼女の自宅でプロポーズすることになるとは……」
「私も驚きを隠せません」
「でもほら、結婚したら会社で普通に話せるようになるし。上司にも言いやすいし」
「そういうこと?」
「会社で妬くこともなくなる」

ちくちくと刺してくるので、口を噤む。

確かに、それはそうだけど。

「じゃあいつも、ダークチョコレート常備しといてくださいね」
「言われずとも」

清水さんは笑って、私の口にもうひとつチョコレートを放り込んだ。





20240215
ダークチョコレート