ダークチョコレート


「手、出して」
「え、それは」

手を出す前に掴まれた。

引っ込められないくらいには強い力で。

清水さんは器用に片手で指輪を取り出し、私の指に嵌めた。

「似合ってる」

自分の手のように天井へ翳してみせて、清水さんは笑った。

「見てみ」

自分の手のように私へ見せてくれた。

「綺麗」

思わず出た言葉に、清水さんは肩を寄せる。

「気に入ったなら、結婚してください」

するりと手を取られて、指先を握られた。

「よろしくお願いします」

その手にもう片手を添える。