咀嚼すると、中から苦いチョコレートソースが溶け出して美味しい。 「一生餌付けするから、逃げるなよ」 顎を掴まれる。 「私、清水さんのことす」 唇が重なる。 清水さんにあげたチョコレートがどれくらい甘かったのかがわかる。 「……好きですけど」 わかってる、と言いながらぺろりと唇を舐める様子に、頬が熱くなった。 それを誤魔化すようにコーヒーを飲む。 清水さんはもうひとつチョコレートを食べて、持ってきた鞄を漁った。 何を出すのだろうとその腕の先を見つめると、小さな小箱が出てきた。