本当は怖かった。
陰で釣り合っていないと貶されるのが。
もう別れたんだ、と揶揄される未来が。

私のちっぽけなプライドに彼を付き合わせた。

そのツケが回ってきたんだと思う。

「あれって清水(しみず)さんと野々宮(ののみや)さんじゃない?」

同じ部署の人とランチに出て戻る時に、曲がり角のファミレスでその姿を見た。

その名前に、視線を向ける。

彼がいた。窓際のテーブルで、アイスコーヒーを飲んでいる。

その目の前にいるのは、野々宮さんという人。受付の、可愛い若い子。それ以上の情報を私は持たなかった。