ダークチョコレート


何の謝罪なの、と気が抜ける。

「チョコレート、奪って」

その言葉と共に、清水さんは持っていた紙袋を差し出した。

それは有名なショコラの店のものだった。

「……誰からの?」

もしかして野々宮さんからのチョコレートを見せに来たんだろうか、とそれを見つめる。

「俺からの」
「清水さんから?」
「そう。昨日お前からダークチョコレート奪ったから、帰りに買ってきた。店で一番苦いやつ」
「もしかしてそう聞いたんですか?」

尋ねている様子が想像出来て、思わず笑ってしまった。