ダークチョコレート


それを握りしめたまま会社に戻った。

受付には野々宮さんが座っているのを見て、複雑な気持ちになる。

私はいつだって自分に自信がなくて、でもそれを認められない。
そんな弱い自分を愛してくれる人間なんていない。

いない、と思っていた。

「あ、お疲れ」

エレベーターを降りると、清水さんがいた。
手には小さいギフト用の紙袋を持っている。

方や、コンビニのチョコレート菓子を握りしめる私。

急に手を差し出され、挨拶を返すのも忘れた。何の手だろうと、手相も見られないのに見つめてしまう。