それには納得がいかない。
だったら最初に私を振るべきだ。
清水さんが出世コースに乗るというのも、逆玉の輿を狙うことも、赦せないわけじゃない。
彼には彼の人生があるんだし、選ぶのは自由だし、その権利がある。
しかし、それと私から野々宮さんに乗り換える形になるのは話が違う。
一人苛々しながらトイレを出た。
苛々しながらも清水さん本人に何も言うことが出来ず、金曜日になってしまった。
今年入った新入社員の子たちが女性社員からと言って義理チョコを配ってくれた。
「花葉さん、清水さんのところ一緒に行きません?」



