淡い月を愛していたい

「警察って先生何かやらかしたのかな?」

私もそんな教室の雰囲気に影響されて、後ろの席の百合香に話しかける。

「あかり知らないの!?今日の朝から昨日の夜の話で持ちきりだったじゃん!」

昨日の夜?何の話だろう、疑問に思った私は百合香に訊ねてみた。

「今日、歴史の後藤先生見てないでしょ?」

言われてみれば、見てないかもしれない。でも、それと何の関係が?

「昨日の夜、小林先生と後藤先生で校内の見回りしてたら」
「────突然、後藤先生が消えちゃったんだって!」


「消えたってどういうこと?」

「そのまんまの意味だよ!急にいなくなっちゃったんだって!」

他にも、二組の石森さんと四組の鈴木さんとか。あと、うちの部活の先輩も何人か行方不明なの。と、百合香は続けて言った。

「えぇ?行方不明って、誘拐とかかな···?なんか怖いね···」

「それが、みんな校内でいなくなっちゃったらしいんだよ!」

百合香は机に身を乗り出して、少し興奮気味に話し始めた。