太くて低い男の声が背後から聞こえてきて、背筋に恐ろしい戦慄が走り、百合香の肩を掴む手に自然と力が入る。
壁男が「お前の魂は美味そうだ」と舌なめずりをする様子に、冷え切った体から出た汗がこめかみを流れた。
「だがまだ喰べ頃ではないな、もっと魂が恐怖に満ちた時に喰ってやるからな」
壁男は、近くに倒れていた赤い髪の男の子を掴み上げた。
「晃生…!」私は晃生を助けるため、ほとんど反射に近い速さで地面に落ちていた石を拾い、渾身の力を込めて壁男に投げつける。
が、その石は壁男の体をすり抜けてしまう。
「なんで!?」
壁男は戸惑う私を嘲笑うかのように見たあと、大きな口を開ける。
すると、晃生の口から炎の塊、陽火と陰火とは少し違うがそれに限りなく近いものが出てきた。
それが一体何なのかは、分からなかったけれど、とられてはいけないものだという事だけは本能で理解できた。
「晃生から離れろ…っ!」
私は近くに落ちていた木材を握りしめ、壁男に向かって走り出し、木材を振りかざした。
その時だった。
轟音とともにコンクリートの壁が崩れ、壁に大きな穴が空いた。
壁男が「お前の魂は美味そうだ」と舌なめずりをする様子に、冷え切った体から出た汗がこめかみを流れた。
「だがまだ喰べ頃ではないな、もっと魂が恐怖に満ちた時に喰ってやるからな」
壁男は、近くに倒れていた赤い髪の男の子を掴み上げた。
「晃生…!」私は晃生を助けるため、ほとんど反射に近い速さで地面に落ちていた石を拾い、渾身の力を込めて壁男に投げつける。
が、その石は壁男の体をすり抜けてしまう。
「なんで!?」
壁男は戸惑う私を嘲笑うかのように見たあと、大きな口を開ける。
すると、晃生の口から炎の塊、陽火と陰火とは少し違うがそれに限りなく近いものが出てきた。
それが一体何なのかは、分からなかったけれど、とられてはいけないものだという事だけは本能で理解できた。
「晃生から離れろ…っ!」
私は近くに落ちていた木材を握りしめ、壁男に向かって走り出し、木材を振りかざした。
その時だった。
轟音とともにコンクリートの壁が崩れ、壁に大きな穴が空いた。
