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ピピピピピピピ、霞がかった意識の端で鋭いビープ音がが鳴り響き、私を眠りの底から叩き起こした。
「んっ…どこ、ここ」
目を開けると、そこは全く知らない場所だった。
壁と地面はコンクリートで出来ており、ドアがないため、入り口もなければ出口もない。
電気も窓もないので完全な暗闇の中のはずなのだが、なぜかここは薄暗いだけで部屋の様子がわかる。
重い上半身を起こすと、壁男に締め上げられた首に鋭い痛みが走って、ぼんやりとしていた意識が鮮明になる。
「いったぁ…なにこの部屋…」
辺りを見回すと床には、石や木材、今まで行方不明になっていた人たちが横たわっていた。
部屋の隅には人間の骨と思われる、白いものもいくつかある。
そして、その近くに倒れている黒髪に片方だけ赤色の上履きをはいた女の子。
「百合香…っ!」
私は急ぐあまり石や木材につまずきそうになりながら、百合香に駆け寄った。
「百合香しっかりして…!」
仰向けになっていた体を抱き寄せると少し弱々しいが、白くて華奢な首元がしずかに呼吸につれて動いていた。
「ああ…よかったぁ、百合香の話本当だったよ、疑ってごめん…ごめんね百合香…」
「ほう、活きのいい小娘がいるな」
