淡い月を愛していたい

「え、なにこれ…!?」

「陽火と陰火だ。一般的に鬼火、火の玉と言われるもので、妖怪退治の手助けをしてくれる」

手助けをしてくれるってことは、良い妖怪なんだよね。

初めて見る動く炎に私の好奇心はくすぐられ、瞬きも忘れて火の玉を見ていた。


これ普通の火と同じで触ったら熱いのかな?

ふと気になって、陽火と陰火に触れようと手を伸ばす、だが私が触れる前に月煌の後ろに隠れてしまった。

ちょっと残念。


「とにかく急ごう、早くしないと君の友人が妖怪に食べられる可能性がある」

「え、食べられる…!?」と思わず声に出して叫ぶ。

妖怪って人間食べるの?マジか、初めて知った。

でも、思い返してみれば妖怪系の話。例えば山姥とか、人間を食べてたから退治されたってやつあったよね。

私が今まで知らなかっただけで、意外とよくあることなのかもしれない。


「あぁ、だから急いだ方がいい。学校はどっちだ?」

「こっち!」

私たちは学校に向かって走り出した。
風が髪をなびかせる中、月煌は道案内をする私を追い越す。

何で、道案内してる私の前を走るのよ…!私が遅いのは分かってるんだから、もうちょっと配慮してくれたっていいじゃない!


私は悲鳴を上げる足をもっと速くと急かし、月煌に置いて行かれないように全力で駆け抜けた。