「え？妖怪？」

「君は気づいていないだろうが、君から微かに妖気を感じる」

急に目の前に現れた素性のよくわからない青年は、学校で行方不明者が続出している原因は妖怪にある。と主張し始めた。

妖怪を信じていない私はその話を突っぱねる。

「ないない！それは絶対にない！」

「妖怪とかこの世にいるはずないもん！」そう、妖怪なんているはずないのだ。百合香もこの青年も少し変わっている。


「本当にそうと言い切れるか？」

月煌はそれ以上は何も言わず、じっと探るように私の目を見つめてきた。

その黒い瞳は濁りを知らない水晶のように澄み切っていて、とてもこの世のものとは思えないほどに美しく、目が離せない。