「・・・・・・すまない。もう少しだけ待っていてくれないか」
そう言い残すとフィーユはそれ以上のことは何も言わず彼らと共に去っていった。
「もう少しって、どうにかなる希望があるってことだよな」
「王女様のお父様だもの。やはり何かお考えがあるんだわ」
広間に集まっていた人たちも次第に散り散りになっていき、なんとかこの場は収まったようだ。
「なんか、大丈夫かな。フィーユさんはノワールの人たちは手を出さないって言っていた気がしたけど、そんなことないんじゃないのか」
「そうだね・・・。見回りをしているとはいえ、こういったことがあると気軽に外を出歩くのも不安だよな」
「・・・あの、すみません。僕がひ弱なばかりに巻き込んでしまって」
先程助けた男が申し訳なさそうに頭を下げる。
傷を治してくれたことに対しても礼を言うと、ルチルは照れ臭そうに両手を左右に振った。
「あの人が言っていたことは間違いではないので。勘違いはなさらないでください」
「それはどういうことですか?」
「・・・僕が、王女様の力目当てで移住してきたってこと。ここにくれば、全て上手くいく予定だったんだけどな」
「・・・・・・?」
さっきと言っていること違くないか?
何だか変な人だな・・・。

