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 婚約者を演じるためにあなたがくれた指輪は、私の宝物だよ。

 手を洗う時には取らないと落としてしまいそうなくらい緩いけれど、なによりも輝いていて綺麗。あなたが私のことを考えて選んでくれただけで、本当に嬉しかった。

 この指輪を見るたびに、かけがえのない一カ月を思い出す。

 それはとびきりの幸福に満ちていながら、絶望の淵に引き込まれそうな闇がつきまとう日々だった。

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