余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

「りほさん、この間は本当にすみませんでした。嫌な思いをさせてしまって」
「いえ、私こそ。芹澤先生はちゃんと断っていたのに、そこで引かなかった自分が悪いんです」

 ぎこちない笑みを作る彼女は、自分の気持ちに折り合いをつけようとしているらしい。天乃に敵対心を持つような子ではなくてよかったと、内心ほっとする。

「ただ、まだあなた方を祝福する気にはなれなくて……すみません」

 彼女は目を合わせられない様子で、俯き気味に軽く頭を下げる。俺と天乃は一度目を見合わせ、静かにお辞儀をしてその場を離れた。

 りほさんはこれからまだまだ恋はできるだろうし、俺よりもっと自分に合う人を見つけてほしい。

 そうして自分たちの席に戻る前に、心臓血管外科の凄腕ドクター、明神(みょうじん)先生に会った。五歳年上の彼は、若くして難しい症例をいくつもこなしていると脳外科でも有名で、俺も尊敬している人のひとりだ。

 イケメンなのに表情筋が死んでいると言われるほどクールな人なのだが、数年前に図書室の司書をしている伊吹(いぶき)さんと結婚し、今や一児のパパ。最近は雰囲気がますます柔らかくなったので、順風満帆なのだとわかる。