余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

 今日のパーティーは、同じ科の人同士で円卓に座って食事をするらしい。会が始まる前にある程度挨拶を済ませておこうと、関わりのある人を見つけては次々に話しかけていく。皆とても好意的に接してくれて、天乃も次第に気がラクになってきているようだ。

 同じテーブルに座ったのはベテランの脳外科医で、彼も家族を連れてきていたため和やかに歓談できる。偽の婚約者だというのを忘れてしまいそうになるくらい、俺たちは自然に笑って話していた。

 東雲院長は最初にスピーチもあるため姿が見えず、接触できたのは会食がスタートし、歓談の時間に入ってからだった。タイミングを見計らって、ふたりで院長がいるテーブルに向かう。

 院長の隣には奥様と、さらに隣にはりほさんがいる。先日の一件があるので天乃もさぞ気まずいだろう。若干笑顔が強張っている。

 それに対し東雲夫妻は、俺たちが近づいていくとぱっと表情を明るくして迎えてくれた。

 りほさんの告白を完全に断った後、俺は院長に事情を話すため会いに行ったのだが、彼のほうから謝られてしまった。

『りほから聞いたよ。心に決めた人がいるとは知らず、結婚話なんかを持ちかけて悪かったね。私に気を遣って言えなかったんだろう?』
『いえ、結局りほさんに嫌な思いをさせてしまったので……こちらこそ申し訳ありませんでした』