余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

「肩、湿布とか貼らなくていいのか?」
「あはは、大丈夫。湿布臭い婚約者とか思われたくないし」
「皆、病院で慣れてるから気にしないよ」
「そういう問題じゃない」

 即行で返してくる彼女にクスクスと笑い、車を発進させる前にコンソールボックスに忍ばせていた小さな箱を取り出しながら言う。

「むしろ湿布臭いほうが男が寄ってこなくていいかも」
「そもそも寄ってきたりしないって」

 軽く笑い飛ばす天乃は、まったく危機感がない様子。花火大会の時といい、こっちは気が気じゃないのだと内心文句をつけたくなりつつ、彼女の華奢な左手を取る。

「天乃は自分の可愛さを自覚してないみたいだから、これをつけておくよ」

 不思議そうにする彼女の薬指に、緩いカーブを描く女性らしいリングを通す。花のように模られた小ぶりの宝石が、細い指に可憐に咲いた。

 天乃が息を呑んで目を丸くする。

「っ、え、これ……!」
「宝石には詳しくないから、天乃に似合いそうだなって直感でこれにした」

 淡いピンク色の半透明な宝石は、ロードクロサイトというらしい。あまり高価なものは今の俺たちの関係には不釣り合いな気がして、そこまで値が張らないものにした。いつかオーダーメイドのちゃんとした指輪を用意して、プロポーズできたらいいのだが。