余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

 さっきとは打って変わった嬉しそうな様子で、俺が晩酌のお供にしていたあたりめをつまむ。ここはお前の家か、と心の中でツッコみつつ、俺もソファに座って飲みかけの缶ビールに手を伸ばした。

 慎太と恋の話をするなんていつぶりだろうか。学生の時すらたいして話さなかった気がするので少々いたたまれないが、やつは遠慮なく深掘りしてくる。

「でも、だったらなんでずっと口説かなかったわけ? 妹の友達だから?」
「それはあんまり関係ない。年が一緒ってだけだし、秋奈も『天乃だったら兄貴を譲ってもいい』って言ってたし」
「あいつ、なにげにブラコンだよな……」

 ブラコンは言いすぎだと思うが、昔から秋奈は俺にくっついてばかりでいまだに好かれている自覚もあるので、慎太と共に苦笑した。

 秋奈がくっついていたのは俺だけじゃなく、天乃もそう。実は、俺が天乃の名前しか知らない頃から、彼女のことを延々と聞かされていたのだ。

 秋奈は女同士で群れるのが嫌だと言い、昔は今より尖った性格だったためクラスで孤立しがちだった。高校時代、それがエスカレートしてある日嫌がらせを受けるようになったらしい。

 それを後々聞いた俺は心配したものの、本人の表情はなぜか晴れ晴れとしていた。