余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

「俺たち外科医が、これ以上ない完璧な手術をしても助けられない。そういう無力さとか、病の憎さをその日は特に感じてとことん落ち込んでた。全部承知の上で選んだ道だったのに、脳外科医は間違いだったかなって、ほんの少しだけど迷ったくらい」
「そんなに滅入ってたんだ……」

 同じ二十歳の子が亡くなったっていうのに、私たちが能天気にはしゃいでいたから余計に虚しくなっちゃったのかな。

 申し訳なさを感じる私に気づいたのか、彼はこちらを向いて「あ、誤解するなよ」と気遣う。

「天乃たちのことはもちろん祝福してたから。むしろ、酔っ払って『ハイボール飲んでウィー』ってやってるの見て気が紛れたから」
「アホだって思ったんだ絶対〜!」

 ハメを外した恥ずかしい姿を暴露されて、私は両手で顔を覆った。羞恥で悶える私の隣で、夏くんはおかしそうに笑っている。

 成人式の夜、私たちが二次会で行ったお店にたまたま夏くんもいて、はっちゃけているところを見られてしまったのだ。でも私、そんなことしていたっけ……はぁ、若気の至りだ。

 そういえば、あの時彼は珍しくひとりで飲んでいて、纏う空気感もかなり暗かったのは覚えている。だから心配になって、元気づけようとして……。