予想通りどこも混雑していたものの、川に沿った散歩道の途中で打ち上げ花火がよく見えるポイントがあり、意外にも人がいなかったのでそこで見物することにした。
ふたり並んで手すりに寄りかかり、たわいもない話をしながらしばし花火を眺めて感慨に浸る。
おくれ毛を揺らす少しぬるい夜の空気、身体の奥まで響いてくる音、繋がれた手の感触──。それらはすべて私の記憶にしか残らないけれど、目に見える形で残しておけるものもある。
「ねえ、写真撮ろ」
夏くんを振り仰いで言うと、彼は私を見下ろしてふっと口元を緩める。
「いいけど、俺の顔疲れきってるかも」
「全然。夏くんはいつだってカッコいいよ」
「褒め上手だな、天乃は」
自然に本音が出たのだが、彼はあまり本気にしていない様子で口角を上げた。「夏くんほどじゃないから」と返してバッグからスマホを取り出すと、メッセージが来ていたことに気づく。
数十分前、おそらく私が先ほどの男性に声をかけられた時に、夏くんが送っていたらしい。
【ごめん、遅くなった。しぐ行く】
ちょっぴりまぬけな誤字に噴き出しそうになってしまった。きっと急いで来てくれたんだろうなと思うと、この誤字すらも愛おしい。
ふたり並んで手すりに寄りかかり、たわいもない話をしながらしばし花火を眺めて感慨に浸る。
おくれ毛を揺らす少しぬるい夜の空気、身体の奥まで響いてくる音、繋がれた手の感触──。それらはすべて私の記憶にしか残らないけれど、目に見える形で残しておけるものもある。
「ねえ、写真撮ろ」
夏くんを振り仰いで言うと、彼は私を見下ろしてふっと口元を緩める。
「いいけど、俺の顔疲れきってるかも」
「全然。夏くんはいつだってカッコいいよ」
「褒め上手だな、天乃は」
自然に本音が出たのだが、彼はあまり本気にしていない様子で口角を上げた。「夏くんほどじゃないから」と返してバッグからスマホを取り出すと、メッセージが来ていたことに気づく。
数十分前、おそらく私が先ほどの男性に声をかけられた時に、夏くんが送っていたらしい。
【ごめん、遅くなった。しぐ行く】
ちょっぴりまぬけな誤字に噴き出しそうになってしまった。きっと急いで来てくれたんだろうなと思うと、この誤字すらも愛おしい。



