「今さら話すの? それ」
「いーじゃん、恋バナするの久々なんだし」
いたずらっぽく口角を上げる秋奈に続いて、慎ちゃんまで「俺も聞きたい」と身を乗り出してくる。好きな人の妹にこの話をするのはなんだか気まずいものがあるけれど、それも今さらか。
ふたりにじっと見つめられて逃げられなくなった私は、目線を斜め上にさ迷わせて記憶を辿り、恋のきっかけを探る。まず初めに好きになったのは……。
「んー……顔」
「身も蓋もないな」
正直に答えると、慎ちゃんが即ツッコんで秋奈は大笑いした。外見に惹かれたのも本音だが、また別の理由もある。
「だったんだけどね、最初は。夏くんが研修医になってすぐの頃、決定的なことがあって」
当時を懐かしんで続ける私の話に、ふたりは黙って耳を傾ける。
「私のお祖父ちゃんが、よく箸を落とすようになったり、綺麗だった字がミミズみたいになっちゃったりしてて。ちょっと気にはなってたけど、他に変なところはないって言うから様子を見てたの。その話を夏くんになにげなくしたら、すぐお祖父ちゃんに会いに来て『脳の病気かもしれない』って教えてくれた」
夏くんはもう一人前のドクターのように問診をして、祖父を病院へ連れていってくれた。祖父自身もたいして気にしていなかった小さな不調も、実は危険な病の前兆だったらしい。
「いーじゃん、恋バナするの久々なんだし」
いたずらっぽく口角を上げる秋奈に続いて、慎ちゃんまで「俺も聞きたい」と身を乗り出してくる。好きな人の妹にこの話をするのはなんだか気まずいものがあるけれど、それも今さらか。
ふたりにじっと見つめられて逃げられなくなった私は、目線を斜め上にさ迷わせて記憶を辿り、恋のきっかけを探る。まず初めに好きになったのは……。
「んー……顔」
「身も蓋もないな」
正直に答えると、慎ちゃんが即ツッコんで秋奈は大笑いした。外見に惹かれたのも本音だが、また別の理由もある。
「だったんだけどね、最初は。夏くんが研修医になってすぐの頃、決定的なことがあって」
当時を懐かしんで続ける私の話に、ふたりは黙って耳を傾ける。
「私のお祖父ちゃんが、よく箸を落とすようになったり、綺麗だった字がミミズみたいになっちゃったりしてて。ちょっと気にはなってたけど、他に変なところはないって言うから様子を見てたの。その話を夏くんになにげなくしたら、すぐお祖父ちゃんに会いに来て『脳の病気かもしれない』って教えてくれた」
夏くんはもう一人前のドクターのように問診をして、祖父を病院へ連れていってくれた。祖父自身もたいして気にしていなかった小さな不調も、実は危険な病の前兆だったらしい。



