余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

「偽装なんて回りくどいことする必要ないと思うけどな、俺は」
「おだまり。天乃が決めたなら外野があれこれ言っても仕方ないわよ」
「冷たぁ……」

 なぜか塩対応になる秋奈に、若干しょぼんとする慎ちゃん。ふたりはいつもこんな調子で面白いのだけど、お互い好き同士なのでは……と私は前々から思っている。

 現在はフリーのふたりだが、それぞれ恋人がいた時期があり、どちらもたいして長く続いていない。それはたぶん、一番相性のいい相手が友達の位置に納まってしまっているからじゃないだろうか。

 男女の友情の一線を越えてくれたらいいな、と内心望んでいる私の意識を引き戻すかのごとく、秋奈がわくわくした笑顔で言う。

「とりあえず、今度の花火大会楽しんできなよ。もちろん浴衣でね。天乃のお母さん、着付けできるでしょ」
「え、浴衣?」
「女子力を見せつける絶好のチャンスじゃない。あと、恋愛に必須なトラブルを生み出せる」

 浴衣なんて最後に着たのはいつだろう。なんとなく勇気がいるけれど、きっともう機会はないだろうし着てもいいかも。というか、恋愛に必須なトラブルって?

 首をかしげる私に対し慎ちゃんは理解しているらしく、これに関しては同意するように頷いている。