余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

 ──一瞬、耳を疑った。すぐには理解が追いつかず、言葉も出てこなくて、辺りにセミの声だけが響く。

 この子って……私? 私と、結婚するって言った!?

「「えぇぇ!?」」

 私はギョッとして身を縮め、りほさんは思わず立ち上がって同時に叫んだ。彼女は平然と微笑んでいる夏くんに詰め寄る。

「待ってください先生、結婚する気はないって……!」
「する気ないよ。天乃以外とはね」

 肩を抱く手に少し力が込められ、心臓が大きく飛び跳ねた。

 こ、これはどういうこと!? 夏くんが本当にそんな風に思っているとは考えられないし、もしや……デタラメを言ってりほさんを出し抜こうとしている?

 ああ、きっとそうだ。私が横槍を入れたから、ここぞとばかりに乗っかったに違いない。そう納得はできるけれど……。

「一緒にいて一番楽しくて、心が安らぐ特別な人なんだよ。天乃が家で待っていてくれるなら、忙しくてもどうにかして帰りたいって思う」

 甘い声色と瞳に捉えられ、みるみる頬が熱くなって心拍数は上がるばかり。

 さっきは『君と結婚してもたぶん帰らない』なんて言っていたのに。今の言葉がでまかせだとわかっていても、好きな人に言われたら嬉しくなってしまう。