余命1年半。かりそめ花嫁はじめます~初恋の天才外科医に救われて世界一の愛され妻になるまで~

 にんまりして見ていると、慎ちゃんは赤くなった顔をむすっとさせて噛みついてくる。

「ニヤニヤすんな! お前らだってそうだろ」
「ははは、そうでした」

 確かに、私たちも両想いになってから初めての春だ。四人もいいけれど、どちらかと言えば夫婦水入らずでお花見したい。

「じゃあ、今年はお互いにデートってことで。いつまでふたりで行けるかわかんないしね」

 夫婦になってそれなりに愛し合っているのだから、いつ子供ができてもおかしくない。ふたりでいるうちに、たくさん甘えておかないと。

 そういう意味で言ったのだが、慎ちゃんはなにか勘違いしたらしい。「お前、またどっか悪いんじゃないだろな……!?」と顔を強張らせるので、私は大笑いして誤解を解くのだった。


 その日の夜、夏くんと夕飯を食べながらケトン食の商品化の話をした。私が洗い物を始めると、夏くんは綺麗に空にした食器をシンクに運んでくる。

「ケトン食って一般的じゃないから、なかなか商品は売ってないもんな。やりたいっていう患者さんはよくいるし、そういう人にとっては助かると思う」
「でしょ。でもデメリットもあるんだよね? そのへんもよく考えないと」

 ケトン食をずっと続けていると、元気がなくなったり低血糖や下痢、便秘などの悪影響を及ぼす可能性もあるという。そういう問題も踏まえた上で計画していかないと、本末転倒になってしまう。